第18回 労災保険(Workers Compensation)

労災保険とは雇用主が従業員の職務中の事故、病気、死亡などに備えて加入する保険です。ほとんどの州では保険会社から加入しますが、一部の州では州政府が労災を扱います。いずれにせよ加入は義務付けられ、従業員を守る大変重要な保険です。この保険は仕事の業務中に怪我、病気、死亡した場合に適用します。例えば、自動車事故に遭った場合の怪我の治療費用は医療保険、自動車保険、労災保険など複数の保険で適用可能ですが、業務中であれば労災保険が適用されます。

この保険の計算方法について簡単に説明します。保険の料率は仕事内容によってそれぞれコード番号化され、そのコード番号毎に料率が設定されています。例えば、事務、セールス、倉庫管理、など仕事内容別に細かく分類化されています。保険申請時には各仕事内容(コード番号)別に従業員の年間予想給与を計算し、その額に保険会社の提示する料率が掛けられます。それぞれのコード別の料金を総計し、そこから様々な追加料率と割引料率を加えて最終的な料金を算定します。過去のクレーム歴などによっても追加料金や割引が適用されます。

この保険料は年間の予想給与額によって計算しますが、後に実際に支払った額で調整されます(これをAuditと呼びます)。最初に申請した給与額よりも実際に支払った額が少なければ返金があり、逆に多く給与を払っていれば追加で支払います。最初に低い給与額で保険加入すると、Audit時に多額の追加料金を払う事になりますので、増員、増額予定などあればそもれ踏まえた額を申請するようにして下さい。業務内容が変わったり、新規事業を始める場合にはレートが異なる事があります。そういう場合には必ず保険会社に連絡して下さい。

労災保険料は雇用主にとって大変大きな負担となり、大きな問題となっています。この労災保険を悪用する人達も多く、保険が高騰する原因の大きな要素となっています。この保険は州毎に料率も大きく異なり、労災の保険料の高騰に伴い、他の料率の安い州に移転する企業もあるほどです。

労災保険をなるべく安くする為に従業員が怪我をすることのない環境作りも大切です。職場を安全な状態に保つことと従業員へのトレーニングも重要です。多くの保険会社でLoss Controlのサービスがあり、職場の安全を高めるためのアドバイスなども受けれます。独自でも安全対策をし、クレームを最小限にする事により保険料の割引を得るのが理想的です。