第33回 Employment Practice Liability Insurance(EPLI保険)について
EPLI保険とは日本語では雇用慣行、雇用実行、雇用関連賠償責任保険と様々な訳し方をされていますが、主にハラスメント、不当解雇、差別などで訴えられた場合に備えて入る保険です。最近は第三者、第三企業から訴えられる確率よりも、自社の従業員に訴えられる確率の方が高くなってきています。近年のニュースでも騒がれていますが、雇用に関するクレームは大変高額になる事が多く、支払い不可能な為に倒産する企業も多くあります。従業員の扱い方を知らなかったり、間違ったりすると大きな代償を支払う事を余儀なくされます。
クレームの多くは不当解雇、差別(人種、性別、既婚、未婚、宗教、年齢、妊娠、身体障害、出生地、同性愛、軍隊など)、セクハラ、プライバシー関連、給与差別など多岐にわたります。EPLI保険このようなクレームに対して賠償金、弁護費用、懲罰金などをカバーします。通常のビジネス保険(General Liability)にはEPLIが含まれておりませんので、別途加入する必要があります。ポリシーによってはオプションでEPLIを追加できる場合もありますが、限定的な内容でしかカバーしない場合が多いので充分にカバー出来るポリシー加入をお勧めします。
この保険は大企業だけが入る保険ではありません。実際に中小企業でも多数のクレームが起こっております。この保険に加入していない理由として;
* 日本人の従業員だけだから安心。
* 人数が少ないから。
* ハンドブックを全員に配っているから。
* しっかりしたHR担当がいるから。
と言った理由が多いですが、これは大間違いです。多くの中小日系企業でもクレームは多発しています。職種、規模、従業員の数に関係なくクレームは起こります。実際にクレームを何件も見ていますが、訴訟に至らないケースでも多額な請求をされます。訴訟になると賠償金や弁護費用で$250,000以上になる事が多く、ご存知のように数億ドルの大型ケースも少なくありません。
保険料金は従業員の人数、入れ替わりの頻度、職種、過去のクレーム率、ハンドブックの内容、雇用アプリケーションの内容、従業員への教育方針など多項目を考慮して料金が計算されます。保険内容も各保険会社によって違い、幅広くカバーする物から弁護費用のみをカバーするような限定的な物まで多くの種類があります。中には専門弁護士の無料アドバイスが受けれるようなプランもあり、クレームを未然に防ぐ対策にもなります。少人数の企業であれば年間保険料$2,000ぐらいからでも加入できます。今後更に雇用に関するクレームが多くなると予想されています。是非EPLI保険の加入をご検討下さい。